一昔前まで、東京の郊外でも見ることのできた「草屋根の家」。
そう、茅葺きの家。
私の住んでいる大田区の馬込というところにも
つい20数年前までかやぶき農家が残っていました。
都市部においては、屋根の不燃化促進もあり、
ごくわずかな文化財として保存決定したものや民家園などの例外を除き
ほぼ一掃されてしまいました。
地方に行けばまだ残されている、と思われた茅葺き古民家も
その維持管理に過大な経済的負担がかかること、
葺き替えを行なうにも技術を継承した職人がいないこと、
などの理由により、これまた消滅への道をたどっています。
かやぶき古民家で田舎暮らし・・・
という夢のような幸運に出会いました。
福島県のある農村。
田舎暮らしといっても私の仕事の本拠地は東京。
週末やまとまった休みの取れる5月の連休や夏休みに訪れる
「ときどき田舎暮らし」です。
ここでの楽しみのひとつは、掃除をすること。
ひろびろとした畳や板張りの縁側など
いつの間にか「ぞうきんがけレース」が始まります。
庭の草刈り、障子の張替など「家事コース」も盛りだくさん。
そうした遊び?を通じて日本の暮らしを実感することも楽しいこと。
いろりの火は暖をとると同時に
家の中の湿気を放出したり、
煙でいぶすことにより屋根を長持ちさせるなど、
都会の家では経験することのできない新鮮な発見があります。
失われつつあるものを残したい。
さらに、失われたものを呼び戻したい。
その価値を認識して後世に伝えたい。
いつの日か「草屋根」の家を自分たちの手で建ててみたい、
そう夢見ながら、また田舎暮らしを続けます。
草屋根の家の気持ちよさは「里山の草屋根より」でもお伝えしています。